四條畷学園短期大学

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2019/2/1
学長ブログ

2019年2月号 学長からのメッセージ ~こんなこと・あんなこと~

自然界の生きもの>合成生物>人工生物>ロボット との違いは?

(1)自然界の生きもの
 生き物とは ①自己増殖能力 ②エネルギー変換能力(熱や力を生み出し 生命維持に使用) ③恒常性維持 能力 ④自己と外界の明確な隔離 とされている。 しかし ウィルス は上記から大きく乖離しているが 生き物 の細胞内に侵入すると ①-③ の能力を発揮するので 生物 と 無生物 との境界は 決して明確なものでもない。
 また、動物 と 植物 との境界も そう簡単なものでもない。
 そのうえ 進化が進むにつれ 上記①②③とも ますます 境界領域が曖昧になってゆくと 考えられている。

(2)合成生物 とは
 既存の生物の細胞核内の染色体を 他の生物に移植する方法や 遺伝子操作による「生きもの」の編集などがあげられる。 例えば ① クラゲの緑色蛍光蛋白質(GFP)遺伝子 → 種々の動物のゲノムに挿入して 遺伝子組み換え をおこなうと → grow fish (光を発する魚:米国では市販されている)  → ② 正常の2倍の筋肉を有する 食料用牛や豚(既存)や 羽毛(-)の食用鶏(食材加工の手間が省ける) →③ 遺伝子組み換え 巨大サケなど(既存)  → ④ クローン動物(遺伝背景が全く同一)(ペット や 家畜) など 既に世の中に出回っているものも少なくない。

(3)人工生物 とは
   アデニン(A)/チミジン(T)/シトシン(C)・グアニン(G) という4つの塩基がつながった超巨大分子を 完全に人工生産(CRISPR CAS 9 により)して ゲノムを作成 → 大腸菌の核内染色体を除去し そこに人工ゲノムを挿入の上 核を菌体内に返納すると その大腸菌は増殖を開始した ~ 部分的ではあるが 人工生物 が生命活動をし始めた といえる。 理屈上は 「ヒト ゲノム」の作成も可能であるため 厳格な倫理感を持ち 禁止されている遺伝子関連操作に絶対手を付けない科学者・研究者 だけが関係すべき技術である。 しかし 現実は どうであろうか?

(4)サイボーグ昆虫 とは
 生命体と自動制御系の技術とを組み合わせ 融合させた生きものとして ① カブトムシ の 脳 に 電極を植え込み リモコン で 自由に 飛翔させたり 木に止まらせたりできる  ② 背中に 電子回路の受信機 と 6本の神経刺激電極を装着 → 羽の開閉と飛翔・飛翔中の方向転換・30分間の飛翔可能なカブトムシ(寿命には影響 なし)(①② は米国で 市販されている)  ③ ゴキブリの背中に電極を埋め込み  バイオ燃料電池(阪大 森嶋教授) や 温度/湿度センサー 装備 → 位置情報 データの無線送信 が可能(既に成功している)。 今後は 上記サイボーグ昆虫から ヒト が立ち入ることが困難な厳しい環境での 「環境モニタリング・ロボット」 の開発へと進められている。 

(5) 生きもの と ロボット との触れ合い  AIBO(ロボット犬)と じゃれあう犬(だけでなく 人 も ロボットと理解しながらも AIBOに惹かれ 抱きしめたり話しかけたりする) や 人型ロボット と 違和感なく 長時間 話し込んでいる子供も見られる。 「人」や「高等動物」は ロボット に対しても 生き物 に対してと 同じような感情をもって 反応するようだ。

***** 「生き物」 に種々の技術(医療的・工学的)を加え 実験的 or 実用化を目指す試みが色々となされているが 「自然界の摂理」 をないがしろに/非倫理的に おこなわれているものも少なくない。 我々 人間は 「神」 ではない ことを 自覚すべきである。

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