四條畷学園短期大学

新着情報

2018/9/1
学長ブログ

2018年9月号 学長からのメッセージ ~こんなこと・あんなこと~

新たな環境汚染 マイクロプラスチック

 昨年ぐらいから、日本でも メディアで取り上げられることが多くなったので、ご存知の方もおられると思いますが、今 全世界的に大きな問題となっています。

 過去数十年間 世界中のあらゆるプラスチックの消費量の増加により、マイクロプラスチックは 全世界の海洋に広く分布する「海洋ゴミ」になったとのことです。 これらには (1)工業用研磨材・サンドプラスト用研磨材・洗顔料や化粧品・その他の多くの消費者製品を生産するための前段階の原料などに使用される 一次マイクロプラスチック、(2)大きなプラスチック材が壊れて 徐々に自然の中で破砕され 細かい断片になる結果、環境中に形成された 二次マイクロプラスチック(このプラスチックの大きな断片の崩壊をもたらす原因は 波などの機械的な力と太陽光(紫外線)による光化学的過程による )、(3)その他 衣類の洗濯時に 布からの合成繊維の脱落や ビニール袋・ビニールシートなどの劣化などによるもの、等があげられます。
 これらは 自然界の中で 種々の過程により粉砕化され 5mmから1mmまでの(時には 1mm以下)粒子となり 水中を浮遊したり また 沈殿・堆積したりします。

ミジンコの体内に取り込まれたマイクロプラスチック(多数の緑色の小球)

問題は このマイクロプラスチックを 水中に浮遊する餌と間違って海洋生物が このマイクロプラスチックと それに付着する有害物質(PCBやDDTなど)を摂取し 生物濃縮によって海鳥や人間の健康にも影響することが懸念されています。

 現時点では 自然環境や生態系への悪影響は確認されていませんが、種々のプラスチック原料の組成から考えますと 全く 悪影響はない と断言できません。

 2008年 米国 ワシントン大学で開催された マイクロプラスチックの海洋ゴミの存在・影響・環境運命に関するシンポジウムでは 1)海洋環境中に マイクロプラスチックの存在の確認 2)これらの粒子の滞留期間の長期化・今後も集積の可能性 3)海洋生物によるマイクロプラスチックの摂取の事実 が確認されています。
 また マイクロプラスチックを摂食した後の 海洋生物への影響は 以下の3つが考えられるとされています; ① 摂食器官または消化管の物理的閉塞または損傷  ② 摂食後のプラスチック成分の化学物質の内臓への浸出  ③ 吸収された化学物質の臓器による摂取と濃縮。

 WHOやEU(欧州連合)では マイクロプラスチックによる海洋汚染防止・リサイクル技術の開発・プラスチック廃棄物削減のための長期環境計画の策定 などを提案しています。

※掲載写真はすべて National Geographic 日本版2018年6月号 から部分転写

新着情報