新しい年度を迎えるに当たり、皆さんは夢と希望に満ち溢れた気持ち、または不安な気持ち、さまざまな気持ちをいだいておられると思います。電車の中で町の中で行き交う新調したスーツ姿の若い人を見ると、過ぎ去った学生時代を思い出し、ほろ苦いような甘酸っぱいような時間を思い出します。

　当時は何ものに対しても怖いもの知らずのようでいて、しかし、いろいろな気持ちの揺れの中に毎日を送っていたような気がします。そんなに怖がることも不安に思うこともないんだよと、あのころの自分に伝えることができれば、言いたいような気がします。若さとはそういうものであること、今この歳になり、様々な経験を積むことで、ようやくわかってきました。

　多くの先人が後に続く若い世代の人たちに同音異句に語ってきたことを、感慨をこめて伝えられる立場になりました。世代連関の中に生きる人間は、自らが通ってきた道を後の世代に語り、そしてこれから向かう先の時間を人生の先輩から見聞きして、やがて自らが行く道として学んでいきます。学びつつ伝える。同世代のつながりと共に縦のつながりの中で、人は決して一人ではなく人生を送ること。そのような人生の一つ一つに意味があることを、皆さんにお伝えしたいと思います。

　これから進んでいく道に、多くの出会い、そして多くの幸せが訪れるようにと心から祈っております。