四條畷学園短期大学

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2018/10/1
学長ブログ

2018年10月号 学長からのメッセージ ~こんなこと・あんなこと~

新たな環境汚染 マイクロプラスチック(II)

 6月17日朝刊では 「G7 憲章 署名拒否 : 微細プラ対策 政府 及び腰」 との見出しで 6月15日に 微細なマイクロプラスチック削減に向けた議員立法の 改正海岸漂着物処理推進法が 参議院本会議において、全会一致で可決成立したことが報道されました。 しかし 政府は 先日 開催された主要7か国首脳会議(G7サミット)で 「海洋プラスチック憲章」への署名を見送った、と。 環境保護団体などから 「国民も議員も 汚染拡大を懸念しているのに 政府は深刻な状況を理解していない」 と猛反発。
 環境省によると 憲章の文書案を受け取ったのは 4月中旬であり、中川環境相は 「趣旨は賛同するが、産業界や関係省庁と調整が必要で 時間が足りなかった」 と述べていますが 言い訳にすぎない と感じられます。

 議長国カナダから プラスチック包装のリサイクル比率を 2040年までに 100%回収を目指すなど具体的な数値目標が示されています。 欧州4か国と欧州連合(EU)は賛同しましたが、日本はアメリカと共に署名を拒否しました。 日本政府からの 明確な理由説明はありません。 環境NGO「グリンピース・ジャパン」や環境NGO「JEAN」 金子博代代表理事は 「世界の流れに遅れることで 産業界にもデメリットが出かねない」 と指摘しています。
 ここでも 日本独自で 自信を持って 政治的判断をすることができない、未成熟国家の一面が見られます。

 一方 事の重大性を感じ取り 自主的に プラスチック ストロー の使用を止めようと 世界中の多くの ファストフード店では 動き出しています。
 英国では 2018年4月に ストローを含む 使い捨てプラスチック製品の販売を禁止する方針を発表。 EUも5月末に 使い捨てプラスチック製品を禁止する提案をおこないました。 マクドナルドは 2019年までに 英国とアイルランドの店舗で紙製ストローに完全に移行すると 表明しました。
 プラスチックスは 今や 日用品には欠かせない素材なので リサイクル化を普及させねばならないのですが そのような動きを メディア は殆ど 報道していません。

また 実際には リサイクル化は簡単に出来るような代物ではないそうです。 プラスチックの劣化が進むと メタン・エチレンなどの強力な温室効果ガスが放出されることが 最近 分かって来ました。 プラスチック製の飲料ボトル・買い物袋・食品容器・工業用プラスチックなど あらゆるプラスチック製品を対象とする実験から 温室効果ガスを最も多く放出するプラスチックは ポリエチレン であることも明らかになりました。 レジ袋に使われているポリエチレンは 生産量と廃棄量が世界で最も多い合成高分子化合物です。

 温室効果ガスは 既に 史上 最高水準まで増加しており 地球の気温と海水面の上昇を引き起こし 世界各地の沿岸地域を脅かしています。
 これまでに 80億トン以上のプラスチックが地球を汚染しており その大半はリサイクル不能なもので 今後20年間で さらに プラスチックの生産量は倍増するとのことです。

 2050年ごろの地球では 人類が快適に生活できる 環境は もはや 失われているのでしょうか。

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